Let's Study
Vol.75 代表的な先天性心疾患
2026.03.12
Let's study
私たちが知っておきたい知識を専門家から学ぶこのコーナー。
前回の「心臓の役割や病気」に続き、連載2回目は「先天性心疾患」について伺います。
成人の心臓病で最も多いのは虚血性心疾患(心筋
梗塞・狭心症)ですが、小児の心臓病のほとんどは
先天性心疾患です。先天性心疾患は生まれつきの心
臓の構造異常で、100人に1人の頻度です。遺伝や
環境などの、一つの原因で発症する疾患ではなく、
様々な要因が発症に関与していると考えられてい
ます。
先天性心疾患には多様な種類がありますが、最も
多いのは心室中隔欠損や心房中隔欠損など、心臓の
左右の部屋を隔てる壁に孔があいている疾患です。
心室中隔欠損は心室中隔に孔があいている疾患で、
孔が大きい場合は多量の血液が左心室→右心室→肺
へ流れるため肺への血流が過多になり、赤ちゃんの
うちから呼吸が苦しくなり哺乳量が低下します。こ
の場合は手術を行って孔を閉鎖します。一方、心房
中隔欠損は小さいうちから症状が出ることはまれで
すが、孔が大きい場合は手術やカテーテル治療で孔
を閉鎖し、将来の症状を予防します。
上記のような疾患は1回の手術で正常の心臓の形
になおすことができますが、より重症の疾患では複
数回の手術が必要になります。さらに、機能できる
心室が一つしかない疾患 (単心室疾患) は、手術に
よって正常の心臓の形になおすことができません。
この場合、「フォンタン手術」を行い、単心室のま
まの状態で血液の流れ方を整理し、チアノーゼ(全
身へ流れる血液の酸素量が少ない状態)をなくすこ
とを目指します。
国立成育医療研究センター
循環器科診療部長 金 基成