難病の子どもと家族が安心して治療に専念できるよう、横の連携が不可欠です

ファミリーハウスには、東京の小児の専門治療施設で治療が必要な子どもと家族が滞在しています。

  • 利用者の主な受診医療機関

• 東京都立小児総合医療センター
• 東京労災病院
• 東邦大学医療センター大橋病院
• 聖路加国際病院
• 東大医科学研究所附属病院
• 榊原記念病院
• 東京女子医科大学病院
• 東京大学医学部附属病院
• 東京医科歯科大学医学部附属病院
• 昭和大学病院

• 慶應義塾大学病院
• 東京都立小児総合医療センター
• 東京慈恵会医科大学附属病院
• 東邦大学医療センター大森病院
• 日本大学医学部附属板橋病院
• 日本医科大学付属病院
• 順天堂大学医学部附属順天堂医院
• 国立成育医療研究センター病院
• 癌研有明病院
• 国立がん研究センター中央病院

  • 利用者のニーズの変化と病院に近いハウスの必要性

これまでは病院へ面会に通う家族の利用が中心でしたが、平成23年には小児がん拠点病院にハウス設置が要件とされるなど、近年、医療的配慮が必要な子どもの利用が増加し、ハウスへのニーズが変化しています。
小児医療施設の均てん化・拠点化により全国各地の施設で専門治療が可能になりました。一方で、東京の病院へ受診をする子どもは、より高度な治療を必要とするため、子どもと家族は長期間にわたり地元と東京での二重生活を続けています。小児医療と利用者のニーズの変化に対応するため、近年、ハウスは「入院の必要はないが、遠方の自宅まで帰ることは難しい、病院に近いハウスでの生活を必要とする医療的配慮が必要な子ども」の滞在に試験的に取り組んできました。
医療的配慮が必要な子どもは、より「病院に近いハウス」を必要としています。

  • 医療的配慮が必要な子どものニーズの例

・半年から1年間、ハウスで生活しながら通院化学療法に通う
・親がドナーとなり、親子で移植手術を受ける
・医療機器を装着後、在宅に向けたリハビリを行う
・長期入院後、原籍校への復学前の生活のリハビリを行う
・成人移行後に発症した晩期障害のための入院や通院をする
・終末期に緩和ケアを受けながら、ハウスへ外泊し家族との時間を過ごす
・海外から日本の高度医療を受ける目的で来日し、長期滞在する
・先進医療や治験、代替医療を受ける目的で上京し、長期滞在する
・自宅は東京近県だが、急変に備え、病院に近いハウスに滞在する

  • 医療機関との連携

医療的配慮が必要な子どもの滞在には、「病院との連携」が必須です。通常、病院の医師やソーシャルワーカーから事務局へ紹介と受け入れ依頼をいただいています。事務局では利用開始前に病院の医療者と話し合い、ニーズに合ったハウスを選定し、安全安心を保証するためにスタッフの支援体制を整えています。ハウスで活動する看護師が、病院との調整や相談業務を担当し、ハウスマネージャとのチームで利用者を受け入れ、滞在中から滞在後まで、窓口となる病院の医療者と密に連絡をとり、情報共有を行っています。

  • ハウスの機能

事務局では、ハウスの立地、特徴、機能性を考慮して、利用者のニーズに適したハウスを選定しています。

・きょうだいや祖父母を含めた家族全員が利用できる一軒家
・親同士の情報交換が可能な集合型ハウス
・家族のプライバシが保たれるアパート型ハウス
・車椅子利用、医療機器や装具を装着しての生活が可能なバリアフリー型ハウス
・病院への通院の負荷が最小限のハウス など

また、感染症予防のためのハウスクリーニングを行い、免疫が低下した子どもが安全に利用できる環境を整えています。

  • ファミリーハウスの専門性

このような背景からハウスでは、医療福祉関係者を対象としたフォーラムを開催し、トールケアにおけるハウスの役割、中間施設としてのハウスの役割、ハウスにおける自立支援、小児緩和ケアに関する専門家を招いて、ハウスのおける支援のあり方を検討してきました。ハウスは、宿泊機能だけでなく、小児医療においてトータルケアの一端を担う社会資源として、ホスピタリティを重視した支援を実践してきました。その活動は、個人や企業団体の多くの皆様からご賛同をいただき、社会の支えにより成り立っています。また、スタッフによる支援の質向上に努め、専門性を発揮できる人材育成に取り組んでいます。

・日本ホスピタル・ホスピタリティ
・ハウス(JHHH)ネットワーク会議への参加
・スタッフ養成研修・スタッフミーティング
・受付対応のシステムづくり

今後は、複雑なケースに対応するスタッフのケアやスキルアップを課題としています。

  • 今後の活動展開

ハウスは、利用者一人一人のニーズに応えるために、病院の医療従事者の皆さまとの連携を強化したいと考えています。今後は、病院に近いハウスを増設し、活動拠点として、より密な医療者との連携を目指します。

  • 医療機関における情報提供のお願い

東京の病院での治療を開始した時期に、家族が治療と看病に専念できるためには、滞在施設の確保が必要です。
ファミリーハウスが全国の医療機関に配布しているパンフレットを病棟や外来へ設置するなど、情報提供をお願いいたします