認定特定非営利活動法人ファミリーハウス

Let's Study

Vol.73 肝移植後も「その子らしい」毎日を過ごすために

2025.09.03

Let's study

私達が知っておきたい知識を専門家から学ぶこのコーナー。

特に、ひつじさんのおうちに多い小児の肝臓の移植についての連載いただきま
したが、今回が連載最終回です。
連載のご協力、どうもありがとうございました。

 

 肝移植という大きな治療を乗り越えたお子さんは、退院後も日々の生活の中
でたくさんの成長を見せてくれます。「特別な配慮が必要なのでは」と不安に
なることがあるかもしれません。しかし実際にはいくつかのポイントを守るこ
とで他のお子さんと同じように保育園や幼稚園、学校生活を楽しむことができ
ます。

肝移植を受けたお子さんは、生涯にわたって免疫抑制剤の内服が必要となりま
す。免疫抑制剤は決められた時間に決められた量を正しく内服することが重要
です。熱が出たときの備えとして、普段の熱を測り体温の変化に気を付けまし
ょう。「いつから熱があるか」「最高体温はいくつか」「水分補給が出来てい
るか」「食事がとれているか」「熱以外の症状はないか」などに注意するのが
ポイント。

 一日の生活リズムを作り、家族みんなが規則正しい生活を送るよう心がけま
す。退院してすぐは体力がなく疲れやすくなったように感じるかもしれません。
体力は徐々に回復していきますので心配しないでください。運動はお散歩など
の軽い運動からはじめ、お子さんのペースで少しずつ行動範囲を広げていきま
しょう。移植された肝臓はみぞおちに位置し肋骨の保護を受けにくい状態とな
っています。そのため格闘技(空手・ボクシング等)はお勧めしません。
鉄棒はお腹を強く圧迫する種目(前回り・逆上がり)でなければ可能です。

特別視しすぎず、お子さんの「できること」に目を向け、お子さんの「その子ら
しい」毎日を一緒に育んでいきたいですね。


 

国立成育医療研究センター 臓器移植センター/看護部 専門看護室
認定レシピエント移植コーディネーター 大野 珠愛

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