認定特定非営利活動法人ファミリーハウス

Let's Study

Vol.72 肝移植を受けたあとも、安心して長く健康に過ごすために

2025.06.24

Let's study

私達が知っておきたい知識を専門家から学ぶこのコーナー。
小児の肝臓移植についての連載4回目の今回は、肝移植後の生活で留意すること
などについて伺います。


 

 肝移植を受けたお子さんの多くは、その後も元気に成長します。しかし、
移植した肝臓を長く大切に使い続けるためには、定期的な検査と服薬が欠かせ
ません。

 外来では、身長や体重の確認、血液検査、超音波検査などを行い、肝臓や
免疫抑制剤の影響をチェックしています。移植後数年が経っても、胆管や血管
(門脈や肝静脈)が狭くなったり、肝臓に炎症が起こったりすることがありま
す。このような合併症が起こった場合には、速やかな治療が必要です。また、
免疫抑制剤の影響で、感染症や腎機能の低下が起こることもあるため、慎重に
経過を見ていきます。

 また、肝臓に対する拒絶反応が長い年月を経て起こることもあります(晩期
拒絶反応、抗体関連拒絶反応、慢性拒絶反応など)。免疫抑制剤の飲み忘れや
自己判断での中断はとても危険です。わからないことがあれば、医師やスタッ
フに何でも相談してください。

 成長とともに「なぜ薬を飲み続けないといけないの?」と疑問に思うことも
あるでしょう。でも、そのお薬が肝臓を守ってくれているのです。思春期や大
人になっても、サポートを続けていきますのでご安心ください。

さらに、女性の患者さんが大人になって妊娠・出産を考えるときにも、きちん
と相談して計画すれば、安全に出産することも可能です。


 移植を受けた肝臓とともに、安心して幸せな人生を送れるように、検査や通
院を続けながら、お薬をしっかり飲んで、医師と共にご自身で健康を守ってい
くという心がけを大切にしてください。


 

国立成育医療研究センター 臓器移植センター
医師 栁 佑典

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